組込み系プログラマの終末

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電験三種の勉強方法 100点目指して範囲全部理解する方法

電験三種の勉強法について

電験の勉強方法について述べたHPやブログをいくつか見たのですが、試験範囲を最初から最後まで理解する、というやり方は避けるべき勉強法だという旨のものが多いと感じました。このような話は電験に限ったことではありませんが、電験は試験範囲が広いためか「過去問重視」「公式丸暗記」「3年計画(科目合格制度)」「60点合格狙い」といった戦略を良しとする傾向がより強いなあと感じました。

でもどうせ資格を取るなら100点目指して範囲全部理解した方がいいよね。実際に私は全科目満点を目指して、7ヶ月程度勉強しました。1日に2〜3時間程度の勉強を続け、無事に一発合格!点数は4科目平均で85点程度で、100点では無いけどまぁまぁ余裕の合格でした(やったね)。

実際に合格してみてより強く思うのは、100点目指してしっかり理解しながら勉強を進めるのが一番近道なんじゃないのかなぁーということです。逆に60点取れるところで勉強をやめるってすごく難しそう。優秀な指導者がいて、勉強内容を全て精査してくれれば可能かもしれないけど・・・独学で60点狙いはどうしているのだろう・・・

 

とは言っても闇雲に勉強するのはオススメできません。膨大な試験範囲は上手く処理しないと、まず間違いなく終わらない・・・。そこで参考までに、日程計画と科目ごとに私の勉強法をまとめようと思います。ちなみに参考書についても別記事にまとめましたのでよろしければどうぞ。

 

public2015.hatenablog.com

 勉強プラン

方針【1】一発合格を狙おう 〜科目合格制度の甘い罠〜

・総勉強時間は一発合格が最短

電験の理論・電力・機械・法規はどの科目も密接に関わっています。そのため科目合格を狙ってしまうと、1年目に勉強した科目と同じような内容を、2年目にも勉強するはめになります。よって多少大変でも1年で4科目まとめて勉強した方がトータル勉強時間は少なく済みます。

 

・電気現象の確かな理解

また、四科目勉強することで電気現象を多面的に捉えることができます。例えば理論で電気回路分野が良くわからなかったとしても、機械の電動機や、法規や電力の短絡試験、各種接地を読んでいるうちに「あーそういうことか」と様々な現象が一本の線に繋がる瞬間が訪れます。この瞬間を迎えると飛躍的に理解が進み、合格にぐっと近づくでしょう。

 

ちなみに勉強する順番としては①理論→②電力か機械→③電力か機械→④法規がおすすめです。

 

方針【2】ゴールを明確にし計画を立てる

各科目について参考書を買って「よし、一日にXXページづつやろう♫これなら無理なく続けられるぞ!」というようにゴールを決めないで始める勉強、これは危険です。電験に限らずどんな勉強でも勉強計画はもっと大きな視点で策定しないと計画倒れになりがちです。

 

私の場合、試験まで7ヶ月ある状態で勉強を開始しました。試験範囲が広そうだな〜という程度の認識だっと記憶しています。下記のようにざっくりとした計画をたてました。

勉強開始〜3ヶ月目(3ヶ月間)

最初の2〜3ヶ月でまずは参考書を全部見てみる。分からないとこをは付箋を貼るなどしてわからなかったことを明確にしておく。

 

目を通すことの目的は【雰囲気を掴み過去問にスムーズに入ること】と、【苦手な分野をあぶり出しその後の対応を考える】ことでした。

3〜5ヶ月目(2ヶ月間)

過去問に取り組む。時間を計らずに全問解く。間違えた分野や理解が足りていない分野について参考書に戻って復習する。ここで過去問を5年分程度実施する。

 

時間をかければ解ける状態は合格の最低ラインなので、まずはそこに到達することが目的でした。

5〜6ヶ月(1ヶ月間)

過去問に取り組む。時間を測り、試験で使用する解答用紙を使用して緊張感を持って問題を解く。間違えた分野や理解が立ちていない分野について参考書に戻って復習する。ここで過去問を5年分程度実施する。

 

試験直前です。最終調整として時間を計って取り組みます。ここで合格ラインを割っている場合最後の一ヶ月でなんとかしようと考えていました。

6〜7ヶ月(1ヶ月間)

過去問で間違えた問題を解き直す。間違えた分野や理解が足りていない分野について参考書に戻って復習する。余力があれば予想問題集をやる。

 

この一ヶ月はバッファで、無いものとして考えていました。

 

計画の実施

電験の勉強をしたことある方なら解ると思いますが、最初の「3ヶ月で範囲全部確認」ってけっこう無謀な計画です。私は計画策定段階には電験の試験範囲の広さを見誤っていました・・・。しかし実際に7ヶ月を振り返るとおおよそこの通りに勉強を進めることができていたなあと思います。さて、ではそんな無謀な計画なのになぜスケジュールどおりに進められたのか?

方針【3】スキマ時間の有効活用

勉強を始めて1ヶ月たったころ、ようやく電験の範囲の広さを認識しました。そこでようやく「このままでは絶対に3ヶ月では終わらない」と気づき、スキマ時間を使う作戦を立てました。サラリーマンであれば通勤時間やお昼休みなど、ちょっとしたスキマ時間がありますよね。

 

スキマ時間は基本的に10分〜30分程度しか連続では取れませんし、ペンと紙を使えない状況が多いです。なので本一冊あれば勉強できる【法規】をスキマ時間学習のターゲットにしました。

 

法規だけ別スケジュールにするためで再度計画を考えざっくり以下のようにしました。

勉強開始(1か月目)〜5ヶ月目(4ヶ月間)

スキマ時間で参考書を3週する。ひたすら読み進める

5〜7ヶ月目(2ヶ月間)

過去問を解く

 

法規は過去問以外は電車内でのみ勉強しました。往復1時間超の通勤(乗車率高め)で、車内でいかに上手く位置取りするかなど考えてました(笑)

方針【4】分からない箇所は付箋を貼って次に進む

初見で分からない概念や機構はたくさん出てきます。その全てを確実に理解しながら進むとひっっじょ〜に時間がかかります。分からないとこは付箋を貼るなどして「何がわからなかった」を明確にしながら進んでいくと、ぎりぎり「3ヶ月で理論と機械と電力の範囲確認」が達成できます。(法規はスキマ時間対応なので別枠です)とりあえず全部の範囲を確認することで、見なおした時にすーっと理解できたりしますので放置して先に進みましょう。ただし、放置する箇所があまりに多くなりすぎると目を通す意味がなくなってしまうかもしれません。放置する箇所は1科目辺り10以下が理想だと思います。私の場合は、パーセントインピーダンス、直流機の構造(重ね巻きと波巻き)、サイリスタ三相交流、電機子反作用などなどを放置しました。もちろん試験前には理解していましたよ!

方針【5】計画を死守する

当たり前と言えばそうなんですが、計画を立てたら極力計画通りに進めましょう。

計画を立てるときは「これだけやれば絶対合格できるだろ!」という自信を持てるような計画にしましょう。そして計画から遅れるということはつまり、試験日までにやりたかった勉強の一部ができなくなること意味します。

 

私は遅れても挽回可能なように、勉強しない日を予め計画に組み込んでおきました。

 

 

続いて各科目の勉強方法、勉強時に意識したことをまとめていきます。

機械

この分野を勉強する際に、最も重要だと私が思うこと、それは対象の構造を正しく理解することです。構造を正しく理解するために、自分の認識している構造を紙に書いてみましょう。紙に書けるのは完全に理解している箇所のみです。なので理解しているつもりであっても実はわかっていないような箇所を驚くほど炙りだしてくれます。愚直にとにかく書いて構造を理解することが機械分野のよい勉強法だと思います。

 

機械では、同期機や直流機、誘導機といったよく出題される分野があります。この分野は公式が多く苦手意識を持っている人が多いかもしれないですね。確かに参考書には多くの公式が書かれていて、それらを使用しないと問題は解けません。しかしここで公式の丸暗記と演習を繰り返すという勉強をしてしまっては、少しひねった問題に対応できなくなってしまいます。

 

私はこれら3つの電動機を勉強する際に、どのような部品で構成されているのか、どのように動作するのかを納得できるまで絵や図を見たり、自分の理解している構造を絵に書いたりしていました。繰り返しになりますが、特に「絵を書く」という行為は重要で、わかった気になっている点や、理解していない点を漏れ無く炙り出してくれます。構造を理解するために見る資料は、個人的には略図ではなく、部品ごとの写真を見るとより理解が深まります。例えば同期機では明電舎の特集の図がわかり易かったです。

 

まず図を見る。次に絵を書く。そして構造を掴んだら、参考書の動作原理を読み込みましょう。動作原理を一言一句漏らさず(重要です。なんとなく分かったはダメ)理解できたら、電動機はほとんど攻略済みです。あとは公式の導出を理解すれば良いのです。構造と動作原理を理解していれば、実は公式の導出はとても簡単です。

問題を解くときは、常に図を書き、公式の導出してみるといいんじゃないでしょうか。10問程度解けばもう完璧に公式を理解していると思います。

 

機械は範囲が広く、照明や制御といった独立した分野がいくつかあります。60点狙いの場合、これらの分野は独立しているからという理由で捨てられがちです。しかしこれらの分野の問題は、独立しているからこそ難易度が易し目の場合が多いです。独立しているからこそ勉強もし易いはずです。優先度は低いですが、捨てるのはもったいない分野だと思います。

 電力

私はあまり記憶力がよくないですが、暗記が多いと言われている「電力」について、覚えられなくて困ったということはほとんどありません。それは電力にでてくる用語の一つ一つが意味・役割を持ってて、その意味を腑に落としながら覚えたからだと思っています。

 

例えば電力ではいくつかの発電方式を覚える必要がありますよね。しかし各種発電方式について、テキストを眺めるだけではなかなか覚えられません。最初はテキストを見て理解した気になって、演習して惨敗するということが多かっです。教科書に載っているような綺麗な絵をいくら眺めても覚えられないんです。

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またまた繰り返しになりますが、一つ一つの要素の意味を確認しながら「絵を書く」ことで少しづつ覚えることができました。恥ずかしいので載せませんが、こんな綺麗な図ではなく、線も字もぐしゃぐしゃの図を量産していました(笑)。全ての要素は意味があってそこにあるものです。その意味を丁寧に確認しながら図を書くことで、最初は存在すら忘れている要素でも、繰り返し書くうちに少しづつ定着していきました。問題を解くたびに、何度も繰り返し書くことで必ず覚えられます。

理論

応用問題の解き方よりも、基本概念を丁寧に積み上げていく作業が必要だなぁと感じました。電流、電圧、電力、交流、グランドとは何か?そういった他の科目でも必要な要素を納得しながら進む必要があります。ここを疎かにすると砂の城になってしまう!

 

とはいっても電気を丸裸にしようと思ったら完全にテスト範囲外ですし、難しすぎます。電気現象を学問的に正確に表現して理解する必要は無いと思います。

 

電流は電子の移動であるとか、グランドは電子を無限に許容できる入れ物だとか、自分なりの納得できる解釈を見つけて、イメージをつかめればいいと思います。

 

物理や数学のレベルについてですが、電験で求められる物理は高校レベルの電磁気を理解していれば十分対応可能です。数学も高校レベル(数学3Cはほぼ不要)で十分です。三角関数虚数、ベクトル、くらいできればいいかなあ。理論が苦手と感じるのであれば、高校の電磁気を学習してみるのが近道なのかもしれないですね。

 

理論に関して、鹿の骨さんのサイトにとてもお世話になりました。特にパーセントインピーダンスとベクトル図は目からウロコ。。

 

ちなみに私は電圧についてイメージを掴みきれていない・・・

法規

試験範囲は法律そのもので、出題形式は穴埋めや解釈などと限定できですが最も厄介な科目だと思います。過去問をいくら頑張っても未知の条文が出題されればTHE END。知っているか・知らないかの2択です。おまけに暗記対象は数値。道路の幅や線の太さなんで覚えられません!

最初に言ってたことと違うけど、法規で100点を狙うのはあまりに厳しい・・・。そこでコンスタントに合格点を取るために私がとった戦略は、「A問題は半分正解、B問題は全部正解」というものです。これを実現すると76点でまず合格できます。

 

A問題は知識問題なので通勤電車でのみ勉強しました。往復約1時間。家では一切やらないと決めスキマ時間を活用しました。半分は知らない問題が出るけど、残りの半分は過去問の類似問題なので類似問題は問題は確実に解けなければなりません。数値の暗記は苦行ですが得点源になるのでやらざるを得ないのです・・・

 

B問題は計算問題です。ここはなんとしても全問正解したいんですけど、「法規の計算問題」は問題数が少なく、演習量が不足しがちです。さらにB問題数年分解いてみたところ予想外に難しく、その時点では全問正解は絶望的でした。

 

そこで少ない法規B問題を有効に使うため、まず理論・機械・電力の計算問題を解けるように実力をつけてから出直す作戦に変更し、4科目の中で法規を後回しにしました。3科目の実力が付いたころに法規B問題に取り組んだところ問題の特殊さはあるけれど難易度は他3科目のB問題の方が高いと感じました。

 

2012年以降の法規は難化しており、この戦略は取りにくいかもしれません。しかし法律を全て丸暗記するよりは計算問題で点数を稼ぐ方が絶対に楽・・・だと思います。法規の計算問題は見た目をややこしくしていることが多いけど、中身は理論や電力の問題と同じ感じのことが多いので、しっかり実力をつけてから臨むといいと思います。

 まとめ

 以上が私の勉強方法です。満点目指す上で重要なことをまとめると、

1、「これだけやれば絶対合格できるだろ!」と自信を持てる計画を立てて期日を死守する

2、機構や原理は、納得できるまで読み込んだり絵を見たりする。

3、理解した内容を絵や図を書いてアウトプットする。

4、法規は満点を目指さない(笑)